【第2話】横浜高校元主将・小川健太が語る「全国制覇以外はその他」の真意とは…

小川健太の野球人生に密着

「全国制覇以外何の記憶もないですね。1以外はその他なんで」
横浜高校野球部で主将を務め、現在は日本未来スポーツ振興協会代表理事として活躍する小川健太さん。
彼の波乱万丈な野球人生を深掘りする連載コラムの第2回は、幼少期の輝かしい国際経験から、名門・横浜高校への入学、そしてそこで直面した想像を絶する現実を赤裸々に語ってくれた。

世界大会でシアトルマリナーズのスカウトから名刺も…

中学時代、小川氏はU-15日本代表としてメキシコで開催された世界大会に出場。
当時を「ベスト4で日本最高記録。いろいろ表彰されたり、個人タイトルも取った」と振り返るその姿は、まさに未来のスター候補生だった。
「その時に完全世界獲った。シアトルマリナーズのスカウトから名刺もらった」と、プロへの期待と自信に満ち溢れていたという。
しかし、世界の壁は高く、「USAのピッチャーが2メートルで、147、8キロ投げるとか…無理だろ、全然球見えねえよ」と、そのレベルの差に圧倒された正直な心境も明かす。

一時は「意外と完全燃焼系ですね」と感じ、野球を辞めて一般の高校受験も視野に入れていた小川さん。
だが、シングルマザーである母親が、息子の「日の丸を背負う姿を見たい」という一心で仕事を辞め、海外まで応援に駆けつける姿が、彼の野球人生を決定づける。「親孝行になると思って」と、再びバットを握ることを決意。
入学先に選んだ横浜高校については「どこそれ?知らなかった」と笑いながら、「一番最初に出てきた男子校っていう言葉に震えましたね」と、名門校への第一歩を踏み出した当時の衝撃を語った。

圧倒的な実力差、そしてキャプテンとしての覚悟:横浜高校で培われた「ロジカル野球」

「俺が一番」という強い気持ちを胸に横浜高校の門を叩いた小川さんを待ち受けていたのは、想像を絶する先輩たちとの実力差だった。
「全部勝てない。超圧倒的な差だった」。自身の無力さを痛感し、時には「人間って悪い生き物だなと思ったんですけど…ポジションが欲しいんで、悪いことを本気で考えると出てくる」と、レギュラー奪取への葛藤を吐露する場面も。
しかし、「でも、やる勇気もないですし、実際にはやらないです」と、その心の揺れを正直に明かした。

2年生でようやくレギュラーの座を掴んだものの、小川さんは自身の高校野球時代を
「本当、マジ、何にもない、普通の選手ですね。でも世界一目指してるみたいな。完全にハッタリですよね」と冷静に分析する。
横浜高校の野球は「めちゃめちゃ細かい、ロジカルな野球で、頭に落とし込んでやってた」と語り、緻密な戦略と高い思考力が求められる環境で成長を遂げたことがわかる。
そして、キャプテンとして“率先して嫌われ役になる”タイプであったというエピソードは、彼のリーダーシップとチームへの献身的な姿勢を物語っている。

自信と葛藤を抱えながらも、泥臭く野球と向き合い続けた小川健太さんの高校野球は、このように締めくくられた。

次回、第3話では、甲子園に出場した時のエピソード、横浜高校キャプテンとしての苦悩などに深く迫っていく。

 

第3話に続く>>>

 

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